従来型のA320ceoのエンジンを換装し、低燃費化を実現したA320neo。
新型エンジンだけでなく、リクライニング済みの座席など、機内の変更点にも注目です。
そんな訳で今回は、ピーチのA320neo型機にて福岡から成田までフライトしました。
福岡空港のピーチのチェックインカウンター。博多駅の地下鉄ホームからここまで、乗車時間含めて約12分で到着。福岡空港の中心市街地へのアクセスのしやすさは断トツです。
チェックイン時間は厳格なので、締切時間に遅れないように注意しましょう。
搭乗DATA
航空会社:ピーチ
搭乗日:2022/04
路線:福岡 ⇒ 成田
飛行時間:2時間00分 (発07:25⇒着09:25)
便名:MM518
座席:5K 普通席 窓側
機材:A320neo (JA206P) 機齢0年6ヵ月
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目次
新型エンジン装備のA320neo
今回の搭乗機はA320neo。
neoのエンジンはPW1100G-JMとLEAP-1Aの2種類の選択制。
ピーチでは、在来型のceo時代から馴染みのあるCFM56エンジンの関係か、neoではLEAP-1Aを選択しました。
今回の搭乗機のA320neo(JA206P)。機齢6ヵ月の新品。ピーチは徐々に在来型のA320ceoの退役を進めており、数年以内に全機をneoに統一する予定。ceoにはバニラエア時代の機体も多く存在しており、機齢的にも中年機材になりつつあります。世界的にceoの退役が進行中のため、A320ceoに乗るなら今のうち!!
A320neoの装備するLEAP-1Aエンジン。neoはP&W社のPW1100G-JMか、CFM社のLEAP-1Aの2種類から選択可能。ANAはPW1100G-JMを装備しますが、ピーチではLEAPを選択。同じANAグループでも選択の方向性の違いが発生しています。
ピーチのA320ceoはCFM56-5B4を装備するため、同メーカーの流れでLEAPを選択したのでしょうか。ANAグループに属するピーチなら、ANAと整備・部品の共通化等でメリットのあるPW1100Gを選択するかと思いましたが、筆者は予想を裏切られました。
スペック上で両者に大きな違いはありません。設計面では、最前面のファンブレード素材がPW1100Gは金属製、LEAPは複合素材を使用している点が大きな違いです。外観上の判別は困難ですが。
両エンジンともに日本メーカーが部品設計・製造に参加しており、PW1100Gでは日本航空機エンジン協会参画のIHI・川崎重工・三菱重工などが一部部品を担当しています。LEAPでは栃木のエアロエッジ社が一部の部品製造を担当。日本企業の担当率の高さはPW1100Gと言えます。
1クラス188席仕様の機内
普通席のみの188席仕様。neoは従来型のceoから8席増席。
左側最後部のみ2人掛け席が設置されています。
PeachのA320neoの座席表と自席の位置(引用:ピーチ HP)。今回はエンジンを眺められる前方席の5Fを指定。スマートシート区画のため、事前指定料金890円を支払いました。個人的におすすめ座席は左側最後部の2人掛け席です。
機内の様子(降機時に撮影)。3-3の一般的なA320の座席配置。紅いもタルトのような紫色をベースとした落ち着いた色合い。neoでは荷物棚付近の座席番号表記が大型化しており、視認性が向上しています。
リクライニング済みの画期的な座席
A320ceoの24号機(JA824P)以降の機体と、A320neoに採用されている新型座席。
設計上、既にリクライニング済みであるため、後席の人に気を使う必要がありません。
世界的にも珍しいプレリクライニングシート。画期的でした。
今回の座席の5F(降機時に撮影)。既にリクライニング状態の新型座席。座席メーカーはドイツのレカロ社製(SL3510)。座席生地は革。座面の筋状の模様がデザイン上のワンポイントに。
約15度のリクライニング状態で固定されている座席。そのため、リクライニング用のボタンはなし。確かに快適ですが、長時間着席していると角度を微調整したくなりました。ベスト位置にリクライニング角度を調整できない点が逆にマイナスポイント。背もたれは薄く、着席中の板な感じは否めません。
機内アナウンスでも"プレリクライニングシートである旨"が放送されていました。
全体的に曲線を多用した、丸みを帯びた優しい設計。個人モニター・電源は未装備。
のっぺりとしたデザインの背面。シートポケットの奥側は壁があるため、ポケット内をガサガサしても前席の人に迷惑が掛りません。
テーブル面積は若干狭め。必要最低限の広さ。パソコン作業は厳しいかもしれません。
ceoよりもわずかに広い足元広さ
座席の広さは従来型座席よりもわずかに広め。
他社LCCやピーチの従来型座席(ceo)よりも指1本分さらに広いスペースが確保されていました。
着席時の足元広さ(身長170cm後半)。大手エアラインよりも狭いものの、一般的な他社LCCよりもわずかに広め。シートピッチ自体は28~29インチと、従来型から変更はありません。
指3本分のスペース。予想外の足元広さに驚かされました。他社LCCは2本分。微々たる差ですが、着席してみると意外と顕著です。プレリクライニング設計の恩恵でしょうか。毎回同条件で評価しているつもりでしたが、何度計測しても指3本分でした。不思議です。
座り心地レビュー
指3本分の足元広さ。座席幅・座面は普通。ホールド感低め、横腹部ややあり。革生地。頭部はフラット。背もたれは板な感じ。ひじ掛け細めで隣人とバトル勃発不可避。固定式リクライニング済みであるため快適度は高いが、長時間の着席の場合だとリクライニングを戻したくなる。
座席の柔らかさ
★★☆☆☆
ピーチのneoと従来型のceoの座席足元比較。ceoでは指2本分の足元スぺースなのに対し、neoでは3本分の間隔。微々たる差ですが、意外と重要な差です。
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neoの静かなフライト
成田までは約2時間。
最新エンジンLEAP-1Aによる、高い静粛性が印象的なフライトでした。
もどかしさのあるエンジン音
従来機のエンジン音は低音~高音域までの幅広いレンジの音色ですが...。
LEAPは低音~中音域止まりの音。抜け切らない、どこかもどかしさのある音。
逆に、低~中音域の音色とすることで高い静粛性を実現しているのかもしれません。
福岡空港を離陸。離陸時はブーン音とヒューン音の混合。一般的なエンジンの音階を3段階とすると、2段階止まりのもどかしさのある音。エンジン始動時はGE90のような重々しいブーン音と細かな振動があったものの、回転数安定後は静かに。A350のTrent XWBのエンジン始動時と似た傾向でした。
「この音階・音の静かさで離陸推力なの???」感が半端無かったです。
あっという間に水平飛行へ。上空は機内空調+風切り音の方が気になるレベルの静粛性で、エンジン音の主張は控えめでした。静か。静か過ぎて逆に物足りません。もっと騒音を...
水平飛行中の騒音は以下の割合(筆者感)
風切り音+機内空調音:70%
エンジン音:30%
A320neoとceoのエンジン比較。neoはLEAP-1A、ceoはCFM56-5B4。どちらもCFMインターナショナル社製。エンジン径の太さが外観上の大きな違い。設計上の違いはもっともっと多いので、ここでは割愛させていただきます。
スペック
・CFM56-5B4 (バイパス比:5.7, ファン径:1.73m)
・LEAP-1A (バイパス比:11, ファン径:1.98 m)
機内Wi-Fiサービス
機内Wi-Fiが使用できますが内線だけなので、地上のネットワークには繋がりません。
有料の機内販売や機内Wi-Fiコンテンツなど、LCCと言えども暇つぶしの選択肢は若干多めです。
シートポケット収納物一覧。安全のしおり・機内誌・Wi-Fi案内・エチケット袋の4点。
機内Wi-Fiコンテンツ一覧。地上との通信は不可ですが、ピーチのコンテンツを楽しむことが可能。機内販売や動画プログラム、フライトマップをすべて無料で楽しむことができました。
フライトマップ。もちろん、無料。手元で自機の飛行位置を随時確認できるのは大変素晴らしい...
新しく綺麗な機内
今回の搭乗機は機齢6ヵ月の新品。
機内は革シートに起因する革の匂いと、ほんのり香る新車の匂いが充満してました。
ほぼ満席の機内。ピーチのA320neoは、荷物棚直下の座席番号プレートが大型化され、視認性が向上しています。最前方はコックピット。着陸数分前になると、オートパイロット解除の電子音が自席までうっすら聞こえてきます。耳を澄ましてみると面白いかもしれません。
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約20分早く成田空港へ
揺れ多めのフライトとのアナウンスがあったものの、特に何もなくあっという間に成田へ。
定刻よりも約20分も早く到着。
賑わいが戻りつつある成田
コロナ禍の影響も収まりつつある今日この頃。
心なしか、飛来する機体数も増えてきたように感じました。
無事、成田に着陸。奥にはホヌ1号機。スポットが埋まるレベルの賑わいが戻ってきたんだなぁ。
9:05。定刻よりも約20分早く到着。沖止め。静か過ぎて熟眠可能なレベルの素晴らしいLEAP-1Aエンジンともおさらば。ANAのneoが採用したPW1100G-JMでは一時期、到着後に整備士さんがエンジン前で外観確認する光景を目撃しましたが、最近は終了したみたいです。導入初期に発生したトラブル対策によるものかと思われます。一方で、LEAPは特段大きなトラブルは発生していないためか、スムーズなデビューが出来ているようですね。
ANAはB787のRR Trent 1000やら、A320neo・A321neoのPW1100G-JM、B777のPW4000など、エンジン問題に振り回されることが多いような...
フライトルート
福岡から成田まで沿岸を飛行するルート。高度は37,000ft(約11,000m)。安定したフライトでした。
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まとめ
そんな訳で、ピーチのA320neo型機で福岡から成田までフライトしました。
エンジン音の小ささ、プレリクライニングシートが印象的なフライトでした。
1フライトで2度楽しい!!エンジン成分と座席成分が同時補給可能な素晴らしい機種。
高い静粛性のLEAP-1Aエンジンは、従来機に慣れていると逆に違和感があるかもしれません。
プレリクライニングシートは確かに快適ですが、各々のベストポジションに調整できないのが唯一の欠点。
しかし、Noリクライニング状態よりは快適なので、この設計は革新的だなぁと感じました。
A320ceoの後継として増殖中のA320neo。今後の活躍が楽しみです。
評価
機内食
☆☆☆☆☆(無料サービスなし。未購入のため未評価)
シート
★★★★☆(リクライニング済の革新的な座席。足元も若干広く着座体勢も楽。たまに角度調整したくなる)
機材コンディション
★★★★★(機齢約6ヵ月。新車の匂いがするレベルの新しさ。機内・機外ともに大変綺麗)
機内スタッフ
★★★★★(親切丁寧テキパキとしたサービス)
エンターテイメント
★★★★★(機内誌・機内Wi-Fi(内線)。LEAP-1Aのエンジン音は最高のエンターテイメント)
時間の正確さ
★★★★★(約20分の早着)
総評
★★★★★
ピーチのA320ceoの搭乗記はこちら
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