機体の設計・座席のレイアウト上、必ず存在する窓なし席。
座席表には窓なし席がどこか示されているため、座席指定時は注意しましょう。
そんな訳で今回は、窓なし席の実状と発生原因についてまとめました。
飛行機の窓なし席の例(ANA B787)。座席表に窓なし席は明記されているため座席指定時に避けることは可能。フラットな壁なので、寄りかかって睡眠を取る際はいいかもしれません。逆に、それ以外のメリットはありません。
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窓なし席が発生する仕組み
基本的に窓なし席は機体設計が要因で発生します。
今回は空調用配管・非常口座席・胴体接合部の3要素についてまとめました。
空調用配管
まずは機内の空調用空気の通り道となる配管について。
エンジンで生成された高温・高圧の圧縮空気を適温まで調整した後に機内に放出。
天井からエアーを放出する際に空調用配管が必要になりますが、それは壁に埋め込まれています。
よって、配管が通る場所は窓なし席になってしまうという訳です。
空調用配管が設置されている場所の例(画像赤丸部)。B747では主翼部3箇所に窓なし席が存在。エンジンで圧縮された高温・高圧の圧縮空気を床下の調整装置で適温へ。その後、壁に設置された空調配管を通って適温空気は天井から放出されます。
機材によって配管位置は異なりますが、概ねエンジン・主翼付近に設置されることが多いです。
B747の空調配管。茶色の太い物が床下から天井に繋がる空調用配管。配管の通り道となる壁部分は窓が設置されていません。設計上、窓を設置することが不可能なのも納得です。
窓なし席の例(引用:ANA HP)。画像はANAのB777-300。座席表上には窓なし席が示されているため、空調マニア以外はまず選択することはないかと。ここでは、赤丸部(24番座席)の窓なし席について実例とともに紹介します。
24番座席の窓なし席。先述した空調用配管によるものと思われる窓なし席。圧迫感しかないのでおすすめできません。空気が通ってるんだなぁ感は実感できるかもしれませんが。
非常口座席
次は非常口座席の窓なし席。
機材によって異なりますが、ドアとの位置関係によって窓なし席となることがあります。
非常口座席の窓なし席の例(引用:ANA HP)。ドアと座席位置との関係上、窓なし席となる非常口座席が存在します。画像赤丸部はANAのB777-300の44番座席。
44番の非常口座席。確かに、窓がありません。離着陸時の景色は楽しめませんが、水平飛行時は非常口の小窓から覗くことが可能。足元の広さを取るか、景色を取るか。人生の中で悩ましい選択肢の1つ。
胴体接合部
最後は胴体と胴体の接合部により発生する窓なし席。
設計上、接合部間に窓を設置することは不可。
そのような場合、座席配置上窓なし席を設けざるを得ないこともあります。
胴体接合部による窓なし席の例(引用:ANA HP)。画像はANAのB787-8の座席表。後部の37番が窓なし席。
B787の後部胴体の接合部(セクション47と48)。ちょうど窓が設置されるべき位置が接合部となっているため窓なしに。
まぁ確かに、接合部に窓を設置したら隙間から空気が漏れそうで怖いですしね。強度上も心配です。
内部から。背もたれ位置付近が接合部中心ですが、内部からはただの壁に過ぎません。ただの窓なし席ですが、接合部の真横の座席だと考えると感慨深いものがありますね。構造マニア歓喜な座席ですね。
ここで折れませんように...。
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窓なし席でも実際は窓がある例
座席表上には親切なことに窓なし席が明記されています。
しかし、実際は窓なし席扱いでも窓があることも。
運悪く窓なし席が当たった場合でも着席前まで諦めてはいけません。
(諦めたらそこでフライト終了)
非常口座席
窓位置がずれているだけで、実際は窓があることも。
首が長い人ならいいかもしれません。
RACのQ400CCの非常口座席の窓なし席(引用:JAL HP)。12番の座席は非常口座席&窓なし席の表記が。しかし、実際は窓はあります。
12番の非常口座席。機体によってはずれた位置に窓が存在することも。確かに着席時に景色は見にくいですが。座席表がすべて正という訳ではありません。
わずかに窓がある例
窓がわずかに存在する場所もあります。
100%窓なしというよりも、80%窓なしといった感じ。
B767の窓なし席の例(引用:ANA HP)。16・17番は座席表上窓なし席です。先述した空調配管によるものかと思われます。しかし、実際には背もたれ間に窓があり、景色をわずかながら楽しむことが可能。
16番座席の背もたれ部に存在する窓。16・17は窓なし席扱いですが、一応窓はあります。景色の見にくさは否めませんが。
先ほど紹介した接合部の例。こちらも座席表では窓なし席ですが、前席背もたれ部には窓が存在します。窓が完全に存在しないというよりも、「頭部の横に窓がなく景色が見にくい座席」といった表現の方が正しいかもしれません。しかし、中には完全に窓なしも存在するため、窓の有無の判定は自身の経験と他者の搭乗体験に基づくしかありません。
まとめ
以上、飛行機の窓なし席特集でした。
窓なし席は機体設計に起因するものがほとんど。
最近の機種では設計の見直しで少なくなったと言えども、やはり窓なし席は一定数存在します。
座席表で明記されているため回避は可能です。
実際には窓なし席扱いでも窓が存在することもあるため、実例等での情報収集をおすすめします。
窓なし席が割り当てられても、最後の最後まで諦めてはいけません。