2018年3月16日金曜日、とうとうE351系特急スーパーあずさが営業運転を終えました。
183系・189系の置き換えと特急あずさの高速化を目的に、1993年に投入されたE351系。
先進的な最大傾斜5°の制御付自然振子式により、カーブの多い田舎な路線を難なく走行することが可能となりました。
JR東日本初となる車両型式に"E"が付けられた車両 & 振り子式の先進的なコンセプトなど、鉄道界の名車と呼ぶのに等しい列車だと個人的に思います。
そんな訳で今回は、長野県民である私が幼少期からお世話になったE351系の定期運用ラストラン乗車記です。
1993-2018年の約25年間本当にお疲れ様でした。
E351系特急スーパーあずさのラストランを告知するポスター。新宿駅にて。
乗車データ
・列車名:特急スーパーあずさ33号(JR東日本・中央本線)
・型式:E351系
・乗車区間:新宿=松本
・座席:7号車10番D(指定席)
・乗車日:2018年3月16日 E351系営業運転ラストラン
今回の新宿=松本路線のルート。
やはり、中央本線の難関は山梨県・長野県の勾配&連続カーブ。
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目次
鉄道ファンで賑わう新宿駅10番線ホーム
JR新宿駅の山梨・長野方面の特急列車の発着ホームでもある9・10番線。
この日はいつにも増して混雑していた。
特に混雑していたのが先頭車両。
階段から近いこともあり、駅員さんが大変そうだった。
あまりに混雑がひどかったため、先頭車両の撮影は断念。
出発時間も迫っていたのでせめて最後部の車両だけ撮影することに。
多くの鉄道ファンで賑わうE351系先頭車両付近。
もはや、まともな撮影は困難。撮影は断念することに。
E351系ラストラン記念グッズ。
記念弁当とサボプレート、トートバッグ等の販売が行われていた。
せっかくだし記念弁当でも買おうかと思ったが、販売場所が見当たらない・・・
時間もなかったので断念。
多くの鉄道ファンと乗客で賑わう9・10番線ホーム。
今まで当たり前だった光景も今日で終わり。
当たり前な光景って実は当たり前ではないのかもしれません(哲学)
E351系下りのラストランは特急スーパーあずさ33号松本行き。20:00新宿駅発。
ちなみに、上りのラストランは松本駅を18:35に出発する特急スーパーあずさ32号新宿行き。
E351系最後部車両(1号車)。営業運転ラストランにはS4+S24編成が投入された。
鉄道ファンの姿は先頭車両よりも少なかったが、狭いホーム上での撮影は困難を極めた。
ここでも駅員さんが必死に注意喚起をしていました。
やはり安全第一。事故が起こっては本末転倒です。
新宿駅で最後の幕回し
旧型車両に見られる幕回し型の方向幕を装備するE351系。
同じ特急あずさシリーズのE257系ではLED式の方向幕を採用しているため、幕回しを見ることは不可能。
実質、特急あずさシリーズでは新宿駅最後の幕回し。
(2018/4/7のありがとうE351系の旅では幕に特製シール幕が貼られた)
今回のラストランでは一部車両で幕が故障するトラブルも発生。
老朽化の影響が顕著に表れていた。長年お疲れ様です...
「特急スーパーあずさ中野行き」の幕回し。
"中野"の表記&"あずさ"の名前でピンと来た人はアニオタ中級者。
そう、TVアニメけいおん!の「中野あずさ」ちゃんなのです!!
果てしなくどうでもいいですが...個人的にE351系で一番撮りたかったショット。
一部界隈ではスーパーあずにゃんなんて呼ばれていたり。
けいおん!のまったり感、大好きです。今となっては懐かしい思い出。
日常系アニメの先駆け的な存在だけに、筆者は今でもたまにアニメを見返したりします。
新型の列車に劣らない快適な座り心地の普通席
1993年にデビューしたE351系。誕生から25年経っても座席の座り心地は文句なし。
次々と訪れるカーブの揺れをしっかりと受け止める程よいホールド感の座席。
足を伸ばすのに十分な足元の広さを有する座席。
長時間着席していても疲れることのない、程よい柔らかさの座席。
個人的に鉄道車両の中ではお気に入りの座席だった。
問題点を挙げるとすると、肘置き戦争が勃発しかねない細い肘置きと、
お弁当箱を置くことすら困難な狭いテーブルは改善すべき点でしょうか。
おかげさまで、それらの問題点はE353系で改善されています。
今回の乗車でお世話になった普通席。25年経った今でもくたびれた感はない。
個人的に、座り心地は新型車両に引けを取っていないと思う。
雨の新宿駅。まるでE351系のラストランを悲しむ涙のよう。
E351系営業運転ラストランの切符。新宿と松本を2時間38分で結ぶ。E351系による高速化の恩恵。
ちなみに、正真正銘のE351系営業運転のラストランは中央ライナー7号八王子行き。
この日の22:30に東京駅を出発し、23:21に八王子に到着するもの。
しかし、特急スーパーあずさとしての活躍がメインだった本車両だけに、
特急スーパーあずさ33号こそ本当のラストランと呼ぶのにふさわしいと私は思います。
大人数の鉄道ファンに見送られ、ついに新宿駅を出発
20:00、ミュージックホーンを鳴らしながら雨の新宿駅をゆっくりと出発。
いつにも増してゆっくり。まるで別れを惜しむかのようにゆっくり。
車窓からは右も左も人の姿。
撮影する人、眺める人、エールを送る人・・・
松本へ向けてのラストランが始まった。
ホーム端にてE351系のラストランを見送る人々を車内から。
ホーム上で事故が起きないか心配である...
人の多さこそE351系が愛された証でもある。
E351系の座席前面。お気に入りのJR限定の青森りんごジュースとともに。
地味に値段が高い(160円)が、味は最高。おすすめです。
E351系の文句なしの足元の広さ。
個人的にE351系の座席は大好きです。座り心地、柔らかさ、デザイン、ホールド感。
どれをとっても最高。
ちなみに、量産先行車と量産車では座席足元の構造が異なります。
お世辞にも広いと言えないテーブル。お弁当箱を置くにしても厳しい広さ。
ノートPCで作業に取り組みたいビジネスマン泣かせのテーブル。
大混雑の車内と特設車内販売会場
ラストランといえば混雑。
この日も指定席は満席、車両間スペースには立ちながら乗車する客の姿も。
果たして自由席はどうだったのだろうか...考えるだけで恐ろしい。
それらの都合もあり、車内をカートで回ることが困難と判断したアテンダントさん。
7・8号車の車内販売用倉庫付近のスペースにて車内販売を行うことに。
つまり、車内販売を希望する乗客は自ら特設スペースまで出向く必要があることを意味している。
確かに、この方法なら効率よく乗客に対応することができる。
上記の旨を伝える車内アナウンス後には、早速記念グッズを求める乗客が列を成した。
車内販売の順番を待つ乗客。ドアの先で車内販売を行っていた。
個人的に欲しいグッズがあったけど、並ぶのも面倒だったので今回はパス。
"今回はパス"と言っても次回はない訳だが。
車内販売も落ち着き、客の姿も綺麗さっぱりいなくなった。
車内のLED式車内案内表示器では、E351系のラストランの告知がされていた。
当時は最新だったLED表示器。
発色可能な色数は数色程度と、現在のものとは比べ物にならないレベル。
技術の進歩は早いものです。
21:35,4分遅れで甲府駅に到着。まだまだラストランは続く。
ラストランと言えども、普通に利用している一般の乗客も居るのだ。
それにしても、ファンのマナーの悪さはどうにかならないものか。
この日も車内を走り回る人が数人居た。
一般人からしたら、ただのクレイジーピーポーと思われても仕方ない。
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難なく信州・甲州の勾配 & カーブを走行するE351系
標高37mの新宿駅と標高586mの松本駅を結ぶ特急あずさ。
その標高差、約550m。スカイツリーより少し低い高さまで上る。
特に山梨・長野の勾配は厳しいものがある。
勾配だけでなく、カーブも多い。
やはり、山梨県と長野県の県境付近のカーブの多さには圧巻されるものがある。
連続カーブときつい勾配。豪快な走りを体感できる。
そんな路線を難なく走り上げたE351系。
走りは一流。例えるならスポーツカー。
振り子式の傾斜が非常に心地良かった。
長坂カーブ走行時の速度。時速約90km。
きつい連続カーブと勾配で有名なポイントであるが、難なくスムーズに走行していた。
カーブの度に車体を傾斜させるため、乗り心地はまるで飛行機。
航空マニアである自分にとって、地上に居ながらどこか親近感が湧いた。
しかし、振り子式のきつめの車体傾斜のため、
乗り物酔いしやすい人にとってはE351系は厳しいものがあるとか。
筆者も、乗り物酔いしやすい友人と東京に行く際は傾斜の少ないE257系を選ぶようにした。
車内販売カートに取り付けられたE351系とE353系のコラボイラスト。
いつも通りの走りでラストランは続く。
飽きるほど乗ったE351系とも今日でおさらば。
なぜか、3月17日以降もまだ乗れるような気がしてしまった。
22:48、約10分遅れで終着駅の松本駅に到着。
松本駅でも新宿駅同様に多くの鉄道ファンがE351系の到着を出迎えていた。
これにてE351系営業運転が終了。
22:54、松本駅到着から6分後に松本駅をあとにした。車内清掃なし。そのままの状態で。
回送列車として長野総合車両センターまで最後の走りへ。
本当にお疲れ様でした。
松本駅には新型スーパーあずさE353系の告知ポスターが。
JR東日本も競争相手の高速バスとの戦いに勝利する必要があるため大変だ。
E351系よりも先にデビューした189系。
E351系が引退した後も長野県内をおはようライナーとして走り続ける。複雑な心境。
上諏訪駅のE351系の引退を告げる展示物。
駅員さんとしても、E351系の引退は悲しいものがあるのではなかろうか。
3月16日、E351系の引退を告知するポスター。文章が良いです。
「春風が吹く頃、みなさんとお別れです。」
心に響きました。
そんな訳で、E351系の営業運転ラストランに乗ってきました。
長年お世話になった点と、自分の年齢に近い車両という点で、非常に親しみを感じたE351系。
まるで自分の成長を見守ってくれたかのような存在。
長野県民である自分の上京を支えてくれた存在。
これほど自分が愛着を持った鉄道車両はないです。
ラストランに乗車できたことは、自分にとって非常に貴重な経験となりました。
長年お世話になりました。
約25年間、本当にお疲れ様でした。
ありがとうE351系!!
評価
車内食
★★★★☆(JR関連施設限定の青森県産リンゴジュースはおいしい)
シート
★★★★★(個人的にお気に入りのE351系普通席。文句なしの5つ星評価)
車両コンディション
★★★☆☆(車両年齢24年超の車両。老朽化は否めないが綺麗な状態。幕が故障するトラブルも)
車内スタッフ
★★★★☆(ラストランの混雑であってもてきぱきとサービスを行っていた)
エンターテイメント
★★★★☆(エンターテイメントは車窓と車内誌のみ。振り子式の車体傾斜がGOOD)
時間の正確さ
★★★★☆(約10分の遅延。ラストランだから仕方ない)
総評
★★★★☆
終わりあれば始まりもある。E353系新型特急スーパーあずさデビュー日乗車記はこちら↓↓
E353系新型特急スーパーあずさデビュー営業運転乗車記@松本から新宿へ