まったり空の旅

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トランスヌサ 搭乗レビュー

【搭乗記】中国製リアエンジン機のARJ21は意外と欧米レベルの出来だった

投稿日:

 

中国の国産旅客機のARJ21。

中国製高速鉄道、中国製自動車、中国製家電、中国製アニメ...今や、中国産は普通になりました。

そんな訳で今回は、トランスヌサのARJ21にてクアラルンプールからジャカルタまでフライトしました

 


クアラルンプール国際空港のトランスヌサのチェックインカウンター。トランスヌサはインドネシアのLCC。ARJ21初の海外の顧客です。

 

搭乗DATA
航空会社:トランスヌサ
搭乗日:2023/11
路線:クアラルンプール ⇒ ジャカルタ
飛行時間:2
時間20分 (発10:40⇒着11:50)
便名:8B672
座席:19F エコノミークラス・窓側
機材:ARJ21-700 (PK-TJA) 機齢0年11ヵ月

 

 

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中国以外で乗れる中国製旅客機

 

今回搭乗するクアラルンプール=ジャカルタ路線。トランスヌサが中国国外での初のARJ運航会社となりました。中国以外で乗れる、唯一のARJ運航路線(記事執筆時)。運賃もお手頃で、約1万円で乗れました。機材名にもARJ-21の記載が。(なぜか、当初予約していた別便がA320に機材変更になったため、当日急遽再発券しました。なぜこの日だけ...)

 


チケット発券。一番高い料金プランで購入したため、チケットにも優先搭乗の「PRIORITY」のスタンプが押印されました。まぁ、正直な所、バス搭乗だったため優先搭乗は意味なかったです。

 


8B0672便。数字から始まる便名は珍しいですね。

 

 

中国製のCOMAC ARJ21に搭乗

 


沖止めスポットへ移動。搭乗機のARJ21とご対面。どこかで見覚えのあるフォルム、リアエンジン。これはMDの香り...!!

 


まずは機首。MD-80シリーズを彷彿とさせる丸みを帯びたフォルム。ギア位置は若干異なりますが、まさにMDそのもの。どうやら、MD-90の中国国内でのライセンス生産時に使用した治具等の生産設備を流用しているらしい...。新設計するとお金が掛かりますしね。MDマニアとしては満足。

 


どう見てもMD-80シリーズ。外観上の大きな違いとしては、翼端のウイングレットと機体後部の大口径エンジンでしょうか。

これに乗るためにマレーシアまで来たんだよ!!!

 


アメリカのGE製のCF34-10Aエンジン。E190に搭載されているCF34-10EのARJバージョン。音色はE190と同様でした。このように、意外と欧米の技術が多く投入されているのがARJの特徴とも言えます。

下手に中国独自の部品や技術が多用されていないため、ある意味安心なのです!!!(多分)

 


コックピット窓。MD-80シリーズの特徴だったアイブロウ・ウインドウ(小窓)が廃止され、スッキリとした外観に。

 


機体の銘板。外国のエアラインの機体にも関わらず、こちらは簡体字が刻印されていました。正式なモデル名はARJ21-700でARJシリーズの標準型。製造番号は186。

 


こちらには機体番号のPK-TJA。トランスヌサのARJ初号機です。搭乗時の時点で機体年齢1年未満の新品。機体番号のプレートの下にはこの機体の所有権とリース会社に関する項目が。中国企業によるリースらしいです。

あの国のことだから、いざとなったら機体を差し押さえしてきそう。

 


機内の座席表と安全装備の配置図。

 


トランスヌサのARJ21-700の座席表と自席の位置(引用:トランスヌサ HP)。後部エンジン前席の19Fを指定。全席エコノミークラスの95席。詰め込み仕様です。

 


機内の様子。2-3の1列5席配置。この配置もMD-80シリーズと同様。機内は明るく、天井高さも普通で、ぱっと見は欧米機と遜色ありません。

 


後部から見た機内。

 


目線の高さで見た機内(筆者の身長175cm後半)。ちょうど目線の高さに荷物棚がある感じ。天井高さはリージョナルジェット部門では同等。E-JetやCRJシリーズよりも高さに若干の余裕があります。

 


今回の座席の19F。非常口座席かつエンジン前席の勝ち席。窓位置も文句無し。

 


エンジン前席の非常席なので、ここからの緊急時の脱出は怖いですね...エンジンでミンチになるのはエンジンマニアと言えども御免...

 


文句なしの足元スペース。非常口なので緊急脱出時の援助に関する案内がありました。非常口座席あるあるですが、若干寒かったです。

 

座り心地レビュー

ホールド感あなりなし。背もたれは板な感じ。ヘッドレストは平面でホールド機能無し。足元の広さは文句無し。革の生地。リクライニングするとパイプの出っ張り感があり少々不快。

座席の柔らかさ
★★☆☆☆

 

 


同行者の左側の非常口座席からの景色。この1列分は自分と同行者以外誰も居ませんでした。

 


欧米機と変わらない機内。機内の明るさも十分で、この点はMD-80シリーズの薄暗い蛍光灯の照明とは大違いです。搭乗率は5割程度で後方座席は空席が目立ちました。

 


非常口の荷物棚部のくぼみ。ここは周囲に柔らかいクッション生地が貼られており、頭部が衝突した場合でもケガをしないよう工夫がされていました。

 


壁の出っ張り度合いは普通。内側への湾曲も控えめで、MD-80シリーズと同等。

 


機内最後部は2名分のCAさん用座席。MD-80シリーズの特徴である最後部の昇降口・非常口は未装備。

 


荷物棚は大型のスーツケースは入らないものの、ハンドバッグは余裕で入るレベルのスペース。他機種に装備されている、取り残し確認用の鏡は未装備。

 


読書灯や個別空調。十分な明るさのLED照明。十分な風量の個別空調。部品の形状から、こちらは欧米メーカー製でしょうか。

 


機内のLED照明。明るさは十分。さすが、基本設計が新しいだけあってか、機内装備も新しめです。

 


折り畳み式のテーブル。

 


シートベルトは欧米機で装備されているAMSAFE製。主要な部品は欧米部品が多め。

 


禁煙マークやシートベルトのサインパネル。機体サイズ同等に控えめ。

 

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目の届く範囲で唯一見つけることが出来た中国製部品。非常口ドアの金属部品にXAC(西安飛機工業公司)の検査印の押印が確認できました。

 


シートポケット収納物一覧。安全のしおりと機内販売メニュー。

 


脱出口は最前部と後部の計4ヵ所。

 

機内で購入可能な軽食類。今回もせっかくなので購入しました。これの他に、事前予約となりますが、温かい機内食も注文できます。

 


クアラルンプールを離陸。E190のエンジンと同じCF34-10シリーズ。こちらはARJ用の-10A。音色も同等ですが、エンジンが近い分、音量と振動は大きかったです。スィーン音とブーン音の混在した音色。不快感のある周波数帯が無く、洗練された気持ちのいい音。離陸時の細かな振動はMD-80シリーズ程ではありませんでした。

 


これぞARJ21-700の機窓。主翼とウイングレットはウクライナのアントノフによる設計、製造は西安飛機工業公司(XAC)。エンジンはアメリカのGE製CF34-10A。欧米の技術多めなのである意味、安心です。

上空ではブーン音の支配率が高め。床下からの細かな振動もエンジン始動時からシャットダウン時までずっと続きました。

 


反対側から。エンジンの近さが素晴らしい...

 


リアエンジン機の特等席。エンジンマニア歓喜な素晴らしい座席位置でした。

 


ウクライナのアントノフ設計局による設計のウイングレットを望む。あまり先進的なデザインでは無い、無難な形状に。窓の形状も普通。

 


エンジンのパイロン。若干の摩耗が見られました。欧米機でも同様の事象は確認されるので、特に問題は無いでしょう。

 


ARJ21とMD-80シリーズとの見分けるポイントでもあるウイングレット。逆にこれが無いとB717(MD-95)と大差ない外観になってしまっていたことでしょう。

 

 

機内食や機内販売は安くておいしい

 


事前注文していた魚の機内食。東南アジアのスパイス感ある味付けの白身魚。パサパサ系のタイ米にも塩味があり美味しかったです。値段も1000円以下とお手頃。

 


量もちょうど良く、2時間弱のフライトにぴったり。事前注文しておいて良かったです。

 


上空で購入した機内販売。ジャスミン茶とスナック菓子。インドネシアルピーで購入出来ました。ジャスミン感強く、お菓子はサクサク系でライトな食べ心地で美味しかったです。

 


同行者も機内販売を購入。ニコニコ笑顔の素晴らしいCAさんのサービスでした。

 

 

中国感の無い設計・乗り心地・安心感

正直な所、中国製旅客機と聞いて身構えてましたが心配無用でした。

エンジン・電気、制御システム・シートベルトはアメリカ製、主翼はウクライナの設計、トイレは日本メーカー製。

欧米メーカー品が多用されており、まだまだ中国の独自色は薄いなぁといった感じのフライトでした。

 


最後部座席。座席メーカーは不明ですが、特に問題は無かったです。

 


握りこぶし1個分のスペース。シートピッチ約31インチと思われます。LCCという割には普通の広さ。

 


最後部座席からの景色はエンジンの主張が強め。エンジンパイロンの真横なので、ある意味独特な機窓に。

 


最後部のトイレ。ドア部分に「推」の文字。ここは中国語が残ったままなんですね。

 


日本のジャムコ製のトイレ。主要部品・設備は欧米メーカー品が使用されており、良くも悪くもMADE IN CHINA感はありませんでした。

 

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縦長の楕円形の鏡。この形状は初めて。

 


ジャカルタへ向けて降下。後退角25°の主翼はスピード感があってカッコいいですね。

 


無事、ジャカルタへ到着。特に「ヤバい!」と思うイベントも無く、欧米機と変わらぬ安定のフライトでした。

奥にはトランスヌサの同型機が駐機中。今後、数を増やしていくことでしょう。

 


主翼も特筆すべき点は無し。ウクライナのアントノフ設計局が設計に参加したと思うと感慨深いですね。

 


ジャカルタでも沖止め。ウイングレットが無ければ外観上はB717と大きく変わらないのでは(笑)

 


新しさもありつつ、どこかMD-80シリーズのDNAも残っている、何とも言えないモヤモヤ感のある外観。

中国製旅客機だからどうなるかと思いましたが、取り合えず無事に到着出来たのでひと安心。

 

参考までに、ARJ21とMD-90の機種比較。MD-90と同じ生産設備を使用した説のあるARJ。コックピット窓やギアの設計は異なりますが、それ以外の設計は非常に似ています。まぁ、MDマニア的にはMDのDNAが生き続けてくれるのであればどのような形でも大歓迎ですが(笑)。

 

 


今回のフライトルート。終始安定感のあるフライトでした。

 

 

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まとめ

そんな訳で、インドネシアのLCCであるトランスヌサのARJ21にてフライトしました。

良くも悪くも、中国感のない安心感のある機材でした。

もっとMADE IN CHINA感ある、ヤベェ...!!と思わせてくれるような独自色は無く、欧米機と同等の良くできた機体だなぁといった感じ。

MD-80シリーズのDNAも引き継がれており、このような形でMD成分を補給できるのは嬉しい限りです。

中国品質なのでまだ現段階での評価は早いですが、今のところ問題は無いです。普通に使えます。

数十年後にどんな問題が出てくるか。それは今後の要検討事項ということで...

 

評価

機内食
★★★★☆(東南アジア感のあるスパイスの効いた白身魚の機内食が美味)

シート
★★★★☆(非常口座席は足元広々で最高。リクライニング時のパイプの出っ張り感が不快)

機材コンディション
★★★★★(機齢約1年未満の新品。中国製だが搭乗時は特に問題は無し)

機内スタッフ
★★★★★(親切丁寧テキパキにこやかなサービス)

エンターテイメント
★★★★★(頭部の真横で鳴り響くCF34-10Aの音色は最高のエンターテインメント)

時間の正確さ
★★★☆☆(約45分の遅延)

総評
★★★★★

 

 

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