アメリカ海兵隊岩国飛行場に隣接する民間の岩国錦帯橋空港。
滑走路や誘導路など、発着の際に米軍基地を使用する貴重な空港の1つ(あとは三沢空港)。
そんな訳で今回は、ANAの引退宣告されたB737-700で羽田から岩国錦帯橋空港までフライトしました。
夜明けの羽田空港。澄んだ空気と快晴の空。冬季の早朝フライトの楽しみの1つです。
搭乗DATA
航空会社:ANA
搭乗日:2017/12
路線:東京・羽田⇒岩国
飛行時間:1時間45分 (発7:10⇒着8:55)
便名:NH631
座席:23K 普通席・窓側
機材:B737-700 (JA05AN) 機齢11年6ヵ月
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目次
引退宣告された名脇役のB737-700
2021年6月に完全退役を迎えるB737-700。2005年の導入から約16年間、お疲れ様でした。
B737-700は特異な活躍をする機体が多かったような気がします。
初号機と2号機のゴールドジェット。ほとんどビジネスクラスのANA Business Jetなど。一部はエアドゥに転属したり。
小さいながらも数々の功績を残した名機と言えるでしょう。
初号機と2号機は導入同年に開港したセントレアに合わせて、金色の金鯱ジェット(ゴールドジェット)として活躍。画像は2号機のJA02AN。セントレアとゴールドジェットは同期という訳です(2012年撮影)。
今回の搭乗機のB737-700(JA05AN)。隣のB737-800と比較すると、胴体の短さが際立ちますね。
今となってはレアな小糸工業製の座席
B737-700はプレミアムクラス・普通席ともに小糸工業製の座席を装備。
同社は小糸製作所の子会社で、国内外の1000機に座席を納入していました。
航空機用シートの安全性に関するデータの改ざんが摘発されたことで、悪い意味で有名に...
B737-700型機の座席表(2クラス仕様)と自席の位置(引用:ANA HP)。今回は最後部の23Kを指定。通路側・中央席ともに空席でした。
機内の全景。プレミアムクラス8席、普通席112席の120席仕様。2クラス共に小糸工業の座席を装備します。全体的に紺色の落ち着いた色合いの座席。
B737-700ではモノクラスと2クラスの2種類の機内仕様がありました。モノクラスはJA01AN(元ゴールドジェット1号機)が144席仕様で飛んでいましたが、2020年12月で退役を迎えてしまいました。これでANAからはモノクラスの700は消滅することに。(リース中のエアドゥを除く)
普通席最前列の座席(5番座席)。プレミアムクラスと普通席は壁にて区分けされています。若干圧迫感はありますが足元は広いです。窓も1.5個分あり。勝ち席間違いなし。
機体中央部の翼上の非常口。珍しいことに、非常口座席は通路・中央の2席掛けの配置。他機種のように非常口の隣に座席がなく、ちょっとしたスペースがあるので脱出しやすそうです。
2人掛けの11番座席の孤島感が面白いですね。陸の孤島ならぬ、機上の孤島。
今回の座席23K。最後部のためリクライニングは不可能。すぐ後ろはトイレなので音はうるさめ。
横から。全体的に薄型の背もたれ。頭部はふかふか系。背もたれは板な感じの座り心地。
シートポケットは上部と下部の2箇所。メインは上部です。コート掛けの他にテーブルのつまみ部にもフックがあり、色々と引っかけ放題です。
一般的な広さの足元
足元広さは普通。
大手エアラインで一般的な広さでした。
シートポケットが上部に集約されているため、足元はスッキリとした印象を持ちました。
他社大手エアラインと同等の足元広さ。座席下部にもネットタイプのシートポケットがありますが収納力は低めです。同じB737-700を使用するエアドゥの座席よりも広かったり。エアドゥは元ANA機をリースで使用しています。
座り心地レビュー
握り拳1個分の足元広さ。座席幅は普通。頭部はふかふか。背もたれは板な感じ。
座席の柔らかさ
★★★☆☆
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B737-800と大きな違いを感じないフライト
正直、日本で一般的なB737-800と大きな違いを感じることはありませんでした。
胴体長が800型から約6m短くなった点は特徴的ですが。
B737-500のような、ずんぐりむっくりとした機内の雰囲気を感じることができました。それ以外は...
機内散策
ちょっとだけ最後部付近を散策。
最後部座席なので一瞬の訪問でしたが。
最後部のギャレー。壁一面に収納スペース。まさに、スペースの有効活用とはこのこと。テレビで大口叩いている収納の専門家(笑)に是非ともお見せしたいところ。
奥行きがあるトイレ。左側の壁1枚隔てた所が今回の自席です。トイレの排水音がうるさい訳です。
富士山は左側
定刻にて出発。
エンジンスタート時に排気ガスの香りが漂ってきました。あの石油ストーブ系の匂い。
今回のフライトでは左側に富士山が見えました。西方向のフライトだから、右側かなぁと思ったのですが...。
D滑走路から離陸。関東平野が一望できました。翼形状も800と大きく変わらず、乗り心地も違いを感じません。
ANAのB737は700・800ともに同出力のエンジンを装備。CFM56-7B24の出力10,890kg×2基。航続距離は800よりも約1000km延びています。
B737シリーズの特徴でもある四角い窓枠。最新鋭機と比較すると少々レトロさを感じさせます。
ブレンデッド・ウイングレットはANAカラーの単色。小さく見えますが、大人1人分の高さがあります。アメリカで暴れん坊がウイングレットにまたがり、問題になった動画があるので気になる方は是非。意外とデカイです。
残念ながら、この日の富士山は左側でした。
安定の水平飛行
シートベルトサインがオフに。水平飛行の始まり。
この日の搭乗率は7割程度。後部は比較的空席が目立ちました。
機内後部から。収納式のモニターではフライトマップや番組が放送されていました。B737-700ERの「ANA Business Jet」では、この機内に全席ビジネスクラスの38席仕様で飛ばしていました。成田からムンバイ、ヤンゴンなど。大変面白い試みでしたね。
B737-700ERの絶妙なサイズ感とスペックだからこそ実現した戦略と言えます。
まさに、新規路線のパイオニア。
いつものコンソメスープ。この便もいつも通り美味しかったです。
機内オーディオの操作盤。2口タイプの挿入口。聴診器タイプのヘッドセットにも対応。レトロとハイテクの過渡期といったところでしょうか。
引退するB737-700の安全のしおり。画像の機体はJA03AN。こちらは2021年3月に退役しました。
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合法的に米軍基地に着陸
今回の目的地は岩国錦帯橋空港。
離着陸の際は隣接するアメリカ海兵隊岩国基地の施設を一部使用します。
つまり、合法的に米軍基地に離着陸出来るという訳です!!
米海兵隊岩国基地・海上自衛隊岩国基地と岩国錦帯橋空港の位置関係。黄色のラインは今回のルート。錦帯橋空港までは米軍基地を経由します。滑走路はアメリカ軍の管理下のため、事故の際は米軍が対応。逆に言えば、日本は一切関与出来ません。また、航空管制も米軍が実施します。
撮影は原則禁止
米軍基地を使用するため、機内からの敷地内撮影はご遠慮いただきたい旨のアナウンスがありました。
那覇空港の離着陸時に自衛隊基地を撮影しても問題にはなりません。
しかし、ここは米軍基地。アメリカは容赦ないので、大人しくルールに従う事をお勧めします。リスクを負ってまで撮影したい被写体もなかったですが(笑)。
(検索すると、機内から撮影したと思しき画像がヒットします。気になる方は是非)
定刻にて岩国錦帯橋空港に到着。新しく綺麗なターミナルビル。規模は小さめ。
展望デッキでの撮影に関する案内。ここでも、基地内の撮影に関しては禁止の旨が記載されていました。旅客機とその駐機場の撮影はOK。やはり、軍関連の施設は撮影に関して注意したいものです。逆に自衛隊が緩すぎるのでは??
特に海外は注意したいですね。中国とか、赤い国は容赦なく拘束してきそうですし。
まぁ、外から撮影出来る範囲に最重要機密があるとすれば、敵対国の工作員が喜んで情報収集で訪れるはずです。米軍も馬鹿ではないので、そんなことはしないと思いますが。
展望デッキで羽田からの搭乗機を撮影。米軍基地内撮影禁止と書いてありましたが、ここからでは満足に敷地内を撮影することはできません。良くも悪くも。
空港外周にて搭乗機をお見送り。ずんぐりむっくり感がかわいいですね。2006年6月登録。2021年6月の完全退役まで飛ぶことでしょう。
唯一、合法的に米軍敷地内で撮影できる「岩国フレンドシップデー」。敷地内では米軍機の他に、同じ敷地内に存在する自衛隊基地の所属機、たまに飛来する民間機を捕獲できます。画像は岩国基地の滑走路から離陸する羽田行きのB767(2019年撮影)。
一見普通に離陸するANA機ですが、管制は米軍、緊急時の救助も米軍といった独特な縛りの中で飛んでます。目に見えない所で、色々と厳しいルールがあるみたいですね。
まとめ
そんな訳で、引退間近なANAのB737-700で東京・羽田から岩国までフライトしました。
正直、B737-800と大きな違いを感じることは出来ませんでした。機内が短いかなぁといった感じ。
また、目的地の岩国錦帯橋空港はミリタリーマニア的にアツイ空港です。
米軍の管制で飛び、米軍管理下の滑走路に合法的に着陸でき、合法的に敷地内をタキシングできる貴重な体験が出来ます。
目に見えない、日米の緊張感を機内から感じることができました。撮影禁止な点は残念でしたが...
是非とも、この緊張感を体験するために岩国を訪問したいと思います。
評価
機内食
★★★★☆(安心と安定のコンソメスープ。いつも通り美味しい)
シート
★★★☆☆(小糸工業の座席。大手では一般的な足元広さ。布のふかふか感がGood)
機材コンディション
★★★★☆(機齢11年。少々くたびれた感があるものの、コンディションは問題なし)
機内スタッフ
★★★★☆(親切丁寧笑顔のテキパキとしたサービス)
エンターテイメント
★★★★☆(機内誌・オーディオ・機内モニター。米軍基地に着陸する体験は最高のエンターテイメント)
時間の正確さ
★★★★★(定刻)
総評
★★★★☆
おまけ
岩国フレンドシップデーにて(撮影許可済)。VMGR-152「第152海兵空中給油輸送中隊」の隊員さんのワッペン。同部隊はKC-130Jを運用します。ニックネームはスモウズ(相撲)。相撲ファンの筆者歓喜な部隊。このワッペン、欲しいなぁ。
米軍基地のの航空祭は隊員さんが非常にフレンドリーで楽しいです。
グルメも本場の味を満喫でき、まさに気分はアメリカ。英語をもっと勉強しなきゃなぁ。