一昔前はB727・B737と並んで小型機の代表格だったMD-80シリーズ。
今や、老朽化や騒音、燃費の悪さにより絶滅危惧種的な存在となりました。
そんな訳で今回は、MD-80シリーズの特徴であるリアエンジン前席からの機窓特集です。
アトランタ国際空港をタキシング中のMD-90、MD-88、B717(MD-95)。2020年まで3種のMDシリーズを大量運航してましたが、現在はB717だけに。老朽化した機材をうまく整備し活用することに定評のあるデルタ航空ですが、MDシリーズにも終わりが近づいてきました。
2019年に初訪問したアトランタ。当時は、引っ切り無しに飛ぶMDの多さに驚愕し、タイムスリップしたかのような感覚に陥りました。
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MD-83型機
基本型のMD-81のエンジンを変更し、高地・高温での運航用に改良されたMD-82。
82からさらに、高パワーのエンジンに変更+燃料タンクの増設により航続距離を延長したのがMD-83。
最近まではアメリカン航空で活躍していた他、中東や東南アジアの一部では極少数機が活躍中です。
アメリカン航空のMD-83。ベアメタル塗装がカッコいい機体でしたが2019年に全機退役。導入当時のままのデザインの機内がレトロな機体でしたね。
MD-83の装備するJT8D-219エンジン。バイパス比1台の高燃費!黒煙・爆音は当たり前。遠くからでも判別出来る、独特な音色が特徴的。MD-82のJT8D-217からパワーアップ。さらに、燃費も217から約2%改善されています。
エンジン前席の景色。MD-80シリーズの特徴でもある小口径のエンジンからは、素晴らしい程の爆音が奏でられます。音以外に振動も素晴らしく、床から足を伝って全身にビートするレベル。こんな機体が最近までアメリカで跋扈していました。
本当に、この機体は素晴らしいです。燃費燃費とうるさい今日この頃。そんな常識をぶっ壊す、良くも悪くもアメリカらしさ満点のマッドドッグ。この音は一度聞いた者を虜にします。危険です。
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MD-88
次はMD-88。デルタ航空が大量採用していました。
MD-81・82・83のフレームをそのままに、コックピット等を近代化したモデル。
機体の複合素材使用割合が増加し、耐腐食性の面でも有利に。
デルタ航空のMD-88。2020年に完全退役。2020年初めでも40機台が運航しており、B737やA320とともに小型機の役割を十分に担っていました。
MD-88の装備するJT8D-219エンジン。先述したMD-83と同様のモデル。目視で確認できる黒煙を吐きだす、大変素晴らしいエンジン。
MD-88の機窓。MD-83と大きな変更点はなし。機体には複合素材が使用されている他、コックピットの近代化もあり、中身は大きく進化しています。と言っても、老朽化は否めませんでしたが...
デルタ航空のMDは機齢が20年超でも、機内はリニューアルされていました。LED照明や機内Wi-Fiなど。相変わらずの爆音成分を除けば、レトロ感は少々感じにくかったのが残念でしたね。
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MD-90
従来のMD-80シリーズからさらに進化したMD-90。
エンジンを低燃費のV2500を装備したり、新設計の客室内にするなど、同時期のライバル機のA320を意識した設計に。
しかしライバルは手ごわく、わずか116機で生産終了。低燃費化してもセールス面では不調でした。
デルタ航空のMD-90。MD-88と同様に2020年に退役。元JALの中古機もここで活躍してました。外観上の特徴は延長された胴体と換装されたV2500エンジン。MD-80シリーズの爆音感は薄れ、近代機感が強く出た設計に。稼働機は存在せず、世界から完全退役となりました。
V2500-D5エンジン。ライバルのA320はV2500-A5を装備。どちらも低騒音・低燃費エンジンで地球にやさしい機体となりました。マクドネル・ダグラスの資料によると、V2500エンジンを装備したA320よりも、MD-90の方がわずかに騒音値が低いとされています。差異の要因としては、エンジン配置と機体の構成(翼配置)によるものとのこと。
MD-90の機窓。JT8Dと比較して、エンジン径が大口径化しています。音も豪快ではあるものの、JT8Dのような"やかましさ"ではなく、ちょっとマイルドな大音量といった感じ。A320のV2500と音の傾向は似てますが、頭の真横で響く音はそれだけで聞こえ方にも変化を生じさせます。
やはり、頭の真横で響くエンジンはうるさいんです。だが、それがいい...!!!
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B717(MD-95)
MD-95こと、B717。
開発途中でボーイングに吸収されたことで、ボーイングファミリーに編入されました。
BMWとロールスロイスの共同開発のBR715エンジンや、6面のグラスコクピットなど大幅に近代化しています。
デルタ航空のB717。他にはハワイアン航空やカンタスリンクで活躍中。100席台の小柄の機体に低燃費のエンジン、近代化したグラスコクピットなど、まだまだ最前線で活躍できるポテンシャルを秘めています。
BR715エンジン。名前からわかるように、BMWとロールスロイスの共同開発。V2500と同様に大口径の低燃費・低騒音化したエンジン。JT8Dよりも小さく、マイルドでトゲのない音。聴いていて気持ちのいい音色が響きます。
B717の機窓。同じMD-80シリーズとは思えない、近代化した主翼設計とエンジン。真横なので音は大きいもののJT8Dレベルでなく、トゲのないマイルドかつ上質な音色です。さすがBMWとロールスロイス、高級感がありました(多分)。機内も新設計となり、明るく老朽化感のないライバル機と十分戦える快適さ。
良くも悪くも、MDシリーズのベテラン機感、不器用さがなく、乗っていてワクワク感が少なかったです。ある意味、MD-80シリーズの中では最も快適で、MDらしさがありませんでした...A320・B737と同等の機内環境。
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まとめ
以上、MD-80シリーズの機窓特集でした。
やはり、頭の真横にエンジンがある景色はクセになります。
エンジン音が耳にダイレクトで届くため、オーケストラの最前席に居るかのような感覚に。
特に、JT8Dの音は大変素晴らしいです。豪快さ、振動、レトロ感。
リアエンジンの独特な設計の機体が激減する今日において、この魅力が少しでも多くの方に伝われば幸いです。