韓国と日本の国境の島、対馬。
福岡から飛行機か船(フェリー・ジェットフォイル)で行くことができます。
そんな訳で今回は、博多港から対馬・厳原港までの九州郵船のジェットフォイル乗船記です。
対馬・壱岐までの航路図(引用:九州郵船HP)。対馬行きの船は博多港か唐津東港から出港。今回は博多港から高速船のジェットフォイルで壱岐を経由して対馬まで移動。所要時間は2時間15分。普通のフェリーの所要時間は4時間45分。ちなみに、飛行機なら福岡空港から対馬まで約35分です。圧倒的早さ...!!!
乗船DATA
船舶会社:九州郵船
乗船日:2022/10
路線:博多⇒厳原
乗船時間:2時間15分 (発15:55⇒着18:10)
船舶名:ヴィーナス
座席:2階31A
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目次
博多港から乗船
今回はメインの港である博多港から乗船。
福岡空港からタクシーで約15分・約2600円でした。
港のアクセスはGood。
博多港の待合室。奥がチケットカウンター。売店やマッサージ屋もあるため出発前の暇つぶしも可能。繁華街の天神までもバスで行けるので、出発まで時間が余りすぎる人は行ってみてもいいかもしれません。
今回は飛行機が欠航したため急遽フェリーで対馬入りすることに。空港から程よく距離が近くて助かりました。
窓口にてチケットを購入。ジェットフォイルで運賃は8650円。今回は当日購入しましたが事前予約も可能。2階の窓側席をお願いしたところ、希望通りの席を手配してくれました。
普通のフェリーの場合、1等で6910円、2等で5030円。コストパフォーマンス的にはジェットフォイルの方が良いですね。値段はフェリーの2倍以下で時間は半分ですし。
暇なので港付近を散策。福岡海上保安部所属の巡視艇「CL122 ふよう」が停泊中。このサイズ感の船舶も保有しているとは。船マニア歓喜。
元航空機用エンジン装備のジェットフォイル
九州郵船は2隻のジェットフォイルを保有中。
設計は航空機で有名なボーイング。型式はボーイング929。
航空機用エンジンをベースとしたガスタービンを機関に採用しています。
九州郵船が保有するジェットフォイル。ヴィーナス・ヴィーナス2の2隻が活躍中。画像はヴィーナス2。
設計は航空機メーカー大手のボーイングですが、現在は川崎重工がライセンスを引き継ぎ、「川崎・ジェットフォイル」として生産・販売中。
特筆すべき点は、機関に哨戒機に装備されているT56エンジンを船舶用に転用したアリソン501-KFガスタービンを2基装備しているところ。ウォータージェット推進のパワーの源をこのガスタービンで担っている訳です。
ヴィーナス2はボーイングの製造。船首にはBOEINGのマーキング。B747やB787が有名なボーイング社ですが、船も設計していたんですね。B929、覚えておきます。
航空機には700番台、船舶には900番台で番号付けしているとのこと。
こちらが今回乗船したヴィーナス。1991年から活躍中のそこそこのベテラン船。定員257名と少なめの定員ですが、時速約70km超で航行するためには仕方がないのでしょう。船体がアルミニウム合金製な点から、軽量化にうるさい航空機メーカーのボーイングらしさを感じました。
ヴィーナスは川崎重工がライセンス製造。どうせならボーイング製のヴィーナス2が良かったのですが、設計は変わらないので良しとしましょう。
飛行機に似たエンジン音
ジェットフォイルが装備するガスタービン機関はアリソン・501-KF。ベースは哨戒機のP-3C等に装備されているT56エンジン。基本的な設計は航空機用エンジンもガスタービンも似ているため、音も似ています。ちなみに、アリソン社はロールスロイスに統合されています。
外から聞くと普通の船舶が装備するディーゼル機関の重々しい「ボボボボボ」といった音ではなく、「ヒューン」とした航空機用エンジンの音。内部は「ゴーーー」とした継続的な音でした。エンジン起動時はまさにジェットエンジンそのものの音色で、耳が本当に気持ちよかったです。
2階建ての船体
今回の座席(引用:九州郵船HP)。今回は2階席窓側の31Aを指定。完全座席指定制なので、希望がある場合は窓口でお願いしてみましょう。
物理的に2階席の方が揺れが大きいため、船酔いしやすい人は1階席の方が良いかもしれません。
船内図を発見。図面をそのまま貼り付けた感がマニア的にGreat!!!15分くらい眺めていても飽きないレベルの情報量の多さ。
フラットな座り心地の座席
今回の座席の31A(下船時に撮影)。ヘッドカバーに座席番号が明記されているため、初乗船でもわかりやすかったです。布製のフラットな時代を感じる座席。
背もたれの高さは低め。リクライニング機能は未装備だったと思います。
足元の広さ。ゴム式のシートポケットのため、ペットボトル等の大物も収納可能。ゴムの伸び具合がベテラン感マシマシでGood.座り心地はホールド感低めのフラット系。
柔らかさ★★★☆☆
握りこぶし1個分の足元広さ。これは大手エアラインの普通席と同等の広さです。足元広さまで飛行機に寄せてくる辺り、さすが航空機メーカー設計の船舶ですね!!!
シートベルト
時速約70kmで航行する高速船のため、座席にはシートベルトを装備。ジェットフォイルは海上漂流物との衝突等で負傷者を出す事故がたまに発生しているため、乗船の際は必ずベルトを締めましょう。
船内のシートベルトサイン。こんな表示灯も飛行機感ありますね。
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2時間弱の船旅の始まり
壱岐経由で対馬まで2時間15分の船旅のスタート。
この日は海上の波が高く、揺れが多めの航海でした。
博多港出港
定刻にて出港。航空機用エンジンが始動する際と同様の、低音から徐々に高音に高まる音色が船体後部から聞こえてきました。ガスタービン搭載船、最高ですね!!きっと、P-3Cに搭乗した際も同様の音色が聞こえるのだろうなぁ。
海上から見える博多。今度は博多から船で釜山まで行ってみましょうか。
船内の暇つぶし
船内では売店でのショッピングの他に、船内テレビでの暇つぶしが可能。
スマホの電波も強度は若干弱いものの、意外と通じてました。
シートポケット収納物一覧。安全のしおりと船内の売店メニュー。売店メニュー内の画像のように、ジェットフォイルは高速航行時は水中翼によって浮上。海水を勢いよく吐き出すことで進むウォータージェット推進は海上自衛隊のミサイル艇「はやぶさ」でも採用されています。そもそも、このボーイング929ことジェットフォイルは軍用船舶として開発されたため、設計が特異なのは狙い通りですね。
売店では主に飲食物を販売。アルコール類もありました。巡回販売もしていたため、売店まで行かずとも購入可能。
経由地の壱岐
博多出発から約1時間後、経由地の壱岐に寄港。この船、高速航行するためか窓の塩がひどくて景色は見にくかったです。撮影は尚更。
約5分の寄港の後、壱岐を出発。次回、改めて訪問したいと思います。
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飛行機に似た揺れの乗り心地
この日は海上の波が高く、揺れが多めの航海でした。
揺れの周期が短く、飛行機に似た感覚の揺れが続きました。
時速約70km超の航行速度
時速74.6kmの航行速度。水中翼で浮上して海上を「飛行中」。2階席のため視点が高く、高速航行感はあまり感じることができませんでした。景色は意外とゆっくり。
乗り心地は「ゴリゴリ」とした感じ。上下の揺れの周期が短く、例えるなら飛行機のような感じ。船で一般的な前後方向のピッチングの揺れよりも、上下の上昇・下降の沈み込み感が新鮮な揺れでした。
対馬海峡で眺める日没。こんな綺麗な海峡でも、中国・ロシアの艦艇がちょくちょく通過しているため気が抜けません。残念ながら、この日は艦艇は視認できませんでした。
対馬・厳原港に到着
18:10、定刻にて対馬・厳原港に入港。暖色系の照明色が時代を感じました。レトロでGood.
ヴィーナスに別れを告げ下船。気持ちの良いエンジン音、独特な揺れの乗り心地が素晴らしい航海でした。改めて、コンパクトな船体だなぁ。
対馬・厳原港のフェリーターミナル。こじんまりとした港ですが、年間約8万人(H27年データ)の外国人が入国するレベルのグローバルな港。さすが、国境の島の港は忙しいですね。
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まとめ
そんな訳で、九州郵船のジェットフォイル「ヴィーナス2」で博多から対馬・厳原まで航海しました。
航空機メーカーのボーイングが設計した船体は、乗り心地・音色ともに飛行機感マシマシ。
揺れも独特で、上下の沈み込みの感覚が新鮮。周期の短さがまさに飛行機。
エンジン起動時の音色も飛行機感、航行時の「ゴー」とした音色も独特でした。
船なのに飛行機感あるジェットフォイルの航海、また体験したいですね。
評価
船内食
☆☆☆☆☆(未購入なので未評価。船内売店あり)
座席
★★★☆☆(フラットな座り心地の布製座席。足元は飛行機レベル)
船体コンディション
★★★★☆(船齢約31年。ベテラン感はあるものの、メンテナンスは行き届いていた。窓の塩の汚れは減点)
船内スタッフ
★★★★★(どの部門のスタッフも親切・丁寧・テキパキとしたサービスだった)
エンターテイメント
★★★★☆(船内テレビあり。窓から見える高速航行時の景色や日没が綺麗だった。一応形態の電波は繋がった)
時間の正確さ
★★★★★(定刻での出発&到着)
総評
★★★★☆