まったり空の旅

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陸・海・空の合法的な場所から見える福島第一原子力発電所の景色

投稿日:2021年7月21日 更新日:

 

福島第一原子力発電所。

2011年の東日本大震災で深刻な原子力事故をもたらしたことは、日本人のみならず世界の人も知っているはず。

チェルノブイリ原発事故に並ぶレベル7の深刻さ。10年以上経った今でも廃炉・除染作業が続いています。

そんな訳で今回は、陸・海・空の合法的に立入可能な場所から見える福島第一原発の景色についてまとめました。

 

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空から(飛行機)

まずは空から。

民間機の上空からうっすらと確認することができます。

この画像はエアドゥの新千歳空港から羽田空港に向かう際に撮影しました。

 

エアドゥの搭乗機
新千歳空港に駐機する搭乗機のB767-300。東京・羽田空港行き。新千歳から東京へ向かう便は福島上空を通過することが多いため、天気が良いと福島第一原発を視認することができます。右側か左側か、それは当日の運次第。

 

上空から見える福島第一原子力発電所
上空から見えた福島第一原子力発電所(2016年撮影)。自然豊かな土地の中にポツンと広がる福島第一原発。やはり、人の少ない自然豊かな場所が選ばれるのは、つまりはそういう事なのでしょう。原発はこの土地に多くの雇用を生み出した一方で、このような甚大な原子力災害を被ることに。

距離があるため肉眼での視認は難しいです。望遠レンズか高性能なコンデジをおすすめします。

ちなみに、東京=ニューヨーク間を1回フライトすると0.11~0.16ミリシーベルト被爆します。主に宇宙線によるもの。胸のX線集団検診の2~3回分に相当します。極度の乗りすぎも注意ですね。(出典元:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 平成30年度版(環境省)・国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構「放射線被ばくの早見図」)

 

フライトマップ
この便のフライトルート。福島県の中央部付近を南下。この日は左側席が正解でした。

 

撮影画像のエアドゥ搭乗記はこちら↓↓

【搭乗記】エアドゥ(AIR DO)のB767で冬の新千歳から羽田へ

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海から(フェリー)

2つ目の方法は海から。

民間のフェリーは陸地から少々近い場所を航行するため、意外とくっきり確認できます。

この画像は、苫小牧=仙台=名古屋を運航する太平洋フェリーの船上から撮影しました。

 

太平洋フェリーの苫小牧から仙台経由の名古屋行きのルート
太平洋フェリーの苫小牧=仙台=名古屋線のルート。苫小牧から名古屋までは約36時間かかります。日本ではレアな長距離路線なので、たまには船でゆったりとした旅を満喫するのもおすすめです。

 

乗船した太平洋フェリーのきそ
乗船した太平洋フェリーのきそ。苫小牧フェリーターミナルにて。苫小牧から仙台を経由して名古屋まで向かいました。乗船時間約36時間。2泊3日の船旅が楽しめました。

 

福島第一原子力発電所付近の地図と自分の位置
マップ上の自分の位置と福島第一原発の位置関係。乗船2日目の15時台に福島第一原発付近を航行しました。距離は保たれているため安全です。一応、海上ですが4G電波は入りました。

 

陸から見た福島第一原発沖を航行する太平洋フェリー
福島第一原子力発電所近くの東日本大震災・原子力災害伝承館付近から見える太平洋。うっすらと沖合を航行する太平洋フェリーが確認できました。近いような遠いような、絶妙な位置を航行します。CGではありません。

 

船上から見えた福島第一原子力発電所
船上デッキから見えた福島第一原発(2017年撮影)。陸・海・空の3種類の中では一番くっきり視認できました。事故直後は近づくことさえ困難だった場所が、自分の瞳で確認することができようとは。

一眼レフ+望遠レンズにて撮影。肉眼だとここまでくっきりと見えません。

 

第一原発の拡大画像
画像左から4・3・2・1号機。建屋から飛び出た黒の太い柱が特徴的な4号機。丸いドーム状の構造物が増設された3号機。水素爆発が発生せず、ほぼ稼働当初の箱形を残す2号機。水素爆発で上部の骨組みが露わになった1号機。多くのクレーン車が印象的でした。ここでは毎日、数多くの作業者の方が廃炉に向けて尽力されています。あと何年かかるのか。筆者が高齢者になる頃には更地になっているのでしょうか。まさか、日本で原発事故が起きようとは。

 

原子炉建屋の位置関係
建屋の位置関係。1号機と2号機の間にある排気筒からベントにより大量の放射性物質が放出されました。1号機の格納容器内圧力を下げるためには避けられなかった措置。倒壊の恐れがあったため、2019年に半分程度の高さまで解体されました。

 

5・6号機
5・6号機。1-4号機から離れた高所にあったことで被害を免れました。今後は、研究開発等の実証試験での活用を検討しているらしいです。完全に原子力の研究を否定・廃止することは出来ません。やはり、今後の廃炉や安全に対する研究の人員を育成するためにも、こういった活動は必要と言わざるを得ません。

 

原発周辺を警備する海保の船舶
原発周辺を警備する海上保安庁の警備艇。事故で廃止されたと言えども、やはり国家の最重要施設。海からの侵入も考えられます。

溜まり続ける処理水。海洋放出は避けられない運命。トリチウム等を含む処理水と政府は主張しますが、"等"の部分は大丈夫なのでしょうか。自然界でトリチウムは生成されるため身の回りに存在すると言いますが、原発の放射性物質に触れたものと自然界で生成されたものでは果たして同等のものと言えるのでしょうか。

TEPCOのトリチウムに関する資料を拝見しました。人体に重度な影響はないと考えますがゼロとは言い切れません。まぁ、よっぽど酒やタバコの方が人体に悪影響があると思いますが。放射性物質は"直ちに"影響はないので判断が難しいですね。

 

画像撮影の際に利用した太平洋フェリーの乗船記はこちら↓↓

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陸から(高速道路・双葉町)

最後に陸から。

ここでは、常磐自動車道と双葉町の2つの景色を紹介します。

一部、除染が進んでいない箇所での撮影となるため、わずかな勇気が必要です。

 

常磐自動車道

福島第一原子力発電所にもっとも近い高速道路の常磐自動車道。

道路上の放射線量の案内板や帰還困難区域の警告など、独特な空気感が漂っています。

 

常磐自動車道と福島第一原子力発電所の位置関係
常磐自動車道と福島第一原子力発電所の位置関係(引用:NEXCO東日本)。一部、除染が進まず放射線量の高い帰還困難区域を通過します。気になる被爆量は自動車の場合で0.28マイクロシーベルト。胸部X線診断の1/210回分。210回通行してようやく胸部X線撮影1回分の被爆量になります。意外と安全です。逆に、X線撮影の被爆量の高さに驚きです。

ちなみに、X線を用いるCT検査の被爆量は約2.4~12.9ミリシーベルトとさらに高いです。仮に、2.4ミリシーベルトの被爆量とすると、この区間を約8600回通行しないとCT検査1回分に到達しません。CT検査は癌の早期発見に役立つため、一概に被爆量だけで否定してはいけません。放射線とうまく付き合いましょう。(出典元:放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 平成30年度版(環境省)・国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構「放射線被ばくの早見図」)

 

放射線量の案内看板
放射線量の案内看板。常磐自動車道の各所に設置されています。これは区間の最小値と最大値を表示するタイプ。大体いつもこのくらいの値で安定しています。

 

帰還困難区域の看板
浪江IC付近の帰還困難区域を知らせる看板。放射線量が極めて高いため原則立入禁止とされています。常磐道のこの区間は除染により放射線量が低下したことで通行が可能となりました。なお、道路以外の場所は依然として除染が進んでいないため高線量です。

 

放射線量の案内看板
地点ごとの放射線量の案内板。この区間で最も高かったのが常磐双葉IC=大熊ICの2.1マイクロシーベルト/時。東京の約30倍の放射線量。この地点の通過は一瞬なので被爆量は問題のないレベルだと思います。しかし、事故等でこの付近に緊急停車しなければならない場合は注意が必要です。

 

常磐道から見えた福島第一原子力発電所
常磐自動車道から見えた福島第一原発(2021年撮影)。木々により全体像は確認できません。うっすらと丸いドーム状の構造体の3号機が見える程度で、他の原子炉建屋は見にくかったです。その他は、数十年に渡り関東に莫大な電力を送電し続けたであろう送電線が寂しそうに佇んでいました。どれだけ福島第一原発の電力に助けられたことでしょう。

 

双葉町

双葉町の一部箇所は除染が進んだことで防護服なしで立ち入ることが可能です。

復興に向けて再び人が住める街づくりとして、特定復興再生拠点区域が指定されています。

双葉町も現在進行形で計画が進んでおり、その一環として東日本大震災・原子力災害伝承館と双葉町産業交流センターが2020年にオープンしました。

ここの屋上からは福島第一原子力発電所の煙突が確認できます。

 

双葉町産業交流センター
双葉町産業交流センター(F-BICC)。伝承館に隣接しています。この屋上は展望スペースとして無料開放されており、周辺を一望できます。

 

展望テラスからの原発方向の景色
福島第一原発方向の景色(2021年撮影)。黒い袋は除染にて発生した除去土壌。奥には原発の排気筒が視認できました。この地点の放射線量は0.058マイクロシーベルト/時で東京と同等でした。

 

福島第一原発の排気筒の拡大画像
排気筒。手前のものは5・6号機共用排気筒。望遠レンズ使用。建屋は確認できませんでした。ここまで近くに入れるようになったんだなぁ、といった印象を持ちました。防護服なしでこの地に居られること自体が不思議な感覚。

 

東日本大震災・原子力災害伝承館内部
最後に、東日本大震災・原子力災害伝承館にて。「原子力明るい未来のエネルギー」の看板の文字部分の実物は屋外に展示されていました。3.11前までは原子力は明るい未来のエネルギーだったのかもしれません。原子力災害を知るためにも、訪問をおススメします。個人的には、最初に上映される映像が印象的でした。地元住民の言葉のなまりで訴えられると心に来るものがあります。

 

まとめ

以上、陸・海・空の合法的に立ち入ることが可能な場所から撮影した福島第一原子力発電所の景色でした。

海上が一番はっきり見えます。乗船の際は望遠鏡などをお忘れなく。

TVなどで画面越しで見る原発と自分の瞳で見る原発。

やはり、後者の方が生々しさを感じました。

原子力政策については中立の立場ですが、視野を広げる面でも実物を見ることは必要なのでは、と思います。

 

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