1機だけで運航する、日本一小さなエアラインこと天草エアライン。
熊本県の天草空港を拠点に、1機で1日10便程度をやりくりします。
そんな訳で今回は、天草エアラインのATR42-600型機にて福岡から天草までフライトしました。
今回の搭乗機の天草エアラインのATR42-600型機(JA01AM)。ヨーロッパのATR社製。天草名物のイルカが描かれた可愛らしいデザイン。天草空港の展望デッキにて撮影。
搭乗DATA
航空会社:天草エアライン
搭乗日:2022/03
路線:福岡 ⇒ 天草
飛行時間:0時間35分 (発08:50⇒着09:25)
便名:MZ102
座席:3D 普通席 窓側
機材:ATR42-600 (JA01AM) 機齢6年7ヵ月
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目次
福岡空港の天草エアラインの乗り方
今回は福岡空港から天草空港へフライト。
天草エアラインのカウンターはJALカウンターの一部を使用。
チェックインカウンターの他に、自動チェックイン機が保安検査場付近に設置されていました。
天草エアラインの搭乗手続きカウンター。JALカウンターに紛れていたため、初搭乗の筆者は迷ってしまいました。この日の手続き開始は70分前から。手続き開始時刻にならないと係員は来ません。
手続き完了。搭乗券の他に、預け入れ手荷物の引換券(青色)が渡されました。天草空港到着後の手荷物引き換え時に必要になるので紛失には気をつけましょう。
バス搭乗待合室の様子。天草エアラインはバスにて搭乗します。店舗がないためTHE・待合室感高め。
バス搭乗待合室最大の利点は飛行機との距離の近さ。グランドレベルで機体の迫力を感じることができました。正直なところ、撮影スポットとしても有能です。ここの設計者に勲章を授けたいレベルで素晴らしいです。
ヨーロッパ製のATR42型機
今回の搭乗機は欧州のATR社のATR42-600型機。
ATR社の正式名称はAvions De Transport Regional G.I.E。
フランスのエアバスグループとイタリアのレオナルドの共同事業体です。
今回の搭乗機のATR42-600(JA01AM)。愛称は「みぞか号」。由来は天草の方言「かわいい」を意味する「みぞか」。ヨーロッパのATR社が製造した最新型のATR-42-600。天草エアラインには2016年に導入されました。アビオニクスだけでなく機内設計も改良され、最新鋭のプロペラ機として世界で人気を集めています。日本では天草エアラインの導入を皮切りにJACやHACも同型機を導入。性能・快適性の高さは間違いなし。
機内内蔵タラップから搭乗。ステップ面積は広め。両サイドに手すりがあるため安心感・安定感高めでした。
機体識別板。なぜか、下部の識別板にはATR42-500と打刻されていました。なぜ??600は500ベースで改良されたからだろうか...
この機体は次のルートで熊本までデリバリーされました。
フランス(引き渡し)⇒キプロス⇒バーレーン⇒オマーン⇒モルディブ⇒スリランカ⇒タイ⇒台湾⇒熊本
1クラス48席仕様の機内
普通席のみの48席仕様。2-2の4列スタイル。
最前列は飛行機ではレアなお見合い席(ボックス席)が設定されています。
48人なのでAKB48全員がちょうど乗れますね。
天草エアラインの座席表と自席の位置(引用:天草エアライン HP)。今回はエンジンを眺められる前方席の3Dを指定。
機内の様子(降機時に撮影)。イタリアのデザイナー「ジウジアーロ」が設計した機内。ライバルのプロペラ機(Q400)やリージョナルジェット機(CRJシリーズ)よりも天井高さが高く、意外にも圧迫感がありませんでした。LED照明や薄型座席、大型の荷物棚など従来のプロペラ機の常識を良い意味で覆されました。
ちなみに、工業デザイナーであるジウジアーロは日本製品も多く手掛けています。初代マーチ(日産)、Df・D800(ニコン)など。
今回の座席の3D(降機時に撮影)。赤色の革製生地。緑のシートベルト。白のヘッドレスト。どこかサンタクロースを彷彿とさせる配色。
全体的に薄めの背もたれ。革素材のためか、着席時に若干滑りやすかったです。
シートポケットは上部と下部の2箇所。最近主流の個人モニターは未装備(当たり前ですが)。
ATR42の特徴である最前部のお見合い席(1番・2番座席)。飛行機ではレアな、進行方向と逆向きで着席可能。通常はブロックされているためか、今回こちらの座席の指定は不可でした。
正直なところ、実際にお見合い席の状態になったらかなり気まずくなりそうな予感...
一般的な広さ
座席の広さは普通。
プロペラ機 = 狭いイメージがありますが、そのようなことはなかったです。
着席時の足元広さ(身長170cm後半)。他ライバル機種と同等の広さ。35分のフライトなので苦痛に感じることは皆無でした。
指4本分のスペース。他の座席は握り拳1個分(7番座席着席時)。座席位置によって若干の差異があると思われます。
座り心地レビュー
指4本分の足元広さ。座席幅・座面はやや狭め。ホールド感低め。革生地。頭部はフラットで反発系。背もたれは板な感じで滑りやすい。ひじ掛け細めではみ出る。
座席の柔らかさ
★★☆☆☆
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ターボプロップ機ならではの35分のフライト
天草までは約35分のフライト。
ターボプロップ機(プロペラ機)ならではの、「飛行機に乗ってる感」のあるフライトでした。
プロペラの真横席
約5分遅れにてドアクローズ。
今回の3Dの座席はプロペラの真横席。ある意味、この機体の特等席とも言えます。
子イルカの顔が描かれたエンジン。左側は「はるちゃん」、右側は「かいくん」。エンジンはP&Wカナダ社のPWC127M。6枚のプロペラで騒音の低減が実現。
福岡空港を離陸。腹筋に力が入るレベルの強烈なG強めの加速。例えるなら、車でアクセルをベタ踏みした時のような感じ。このような機敏なフライト体験はプロペラ機ならでは。混じり気のない純粋なブーン音を響かせ、強い細かな振動とともに上昇。
あっという間に水平飛行へ。離陸時ようなブーン音と振動もやや控えめに。高度約2700mの低い高度を飛ぶこのルート。ジェット機よりも景色の見やすさが売りですが、この日は雲の絨毯に覆われたためまったく楽しめませんでした。
天草エアラインらしさ満点の機内誌
シートポケットには天草エアラインの機内誌が。
天草の観光紹介や機体紹介、CAさんスタンプラリーなど天草エアラインらしさが溢れる内容でした。
シートポケット収納物一覧。安全のしおり・緊急時の着席体制の案内・機内誌・エチケット袋の4点。
手作りのルートマップや天草のイルカ紹介など。地域密着型エアライン感高めの読み応えのある内容。ドリンクサービスがない分、機内誌で暇つぶしができました。
みぞか号の紹介ページも。保有機1機だけの天草エアライン。機体に対する愛を感じました。
CAさんのスタンプラリー。4名のCAさんのスタンプを集めるとプレゼントが貰えるらしいです。小回りの効く小さなエアラインだからこそ実現した非常に面白いサービス。
エチケット袋。切り取り線上にはみぞか号が。こんな所にも遊び心満点です。
プロペラ機の乗り心地
風の流れに乗るかのような、ある意味安心感のある乗り心地でした。
無理に気流に逆らうのではなく、木の葉のように揺れる機体。
細かな揺れは伝わってきますが、不安に感じるレベルではありません。
風の流れに逆らうことなく、木の葉に乗っているかのような乗り心地。これは他のプロペラ機と同様です。
近代化された機内
先述したイタリアの工業デザイナーのジウジアーロが設計した機内。
プロペラ機 = 古い・狭いイメージがありましたが、常識を覆されました。
大型化した荷物棚。重量制限40kg。スーツケース等の大型荷物は不可。機体の割に意外と収納力は高め。
従来の蛍光灯ではなく、最近主流の明るく長寿命なLED照明を採用。最新鋭ターボプロップ機の名は伊達ではありません。
読書灯・個別空調・CAさん呼び出しボタン等。コンパクトですが必要な装備はすべてあります。青のアクセントがカッコいい...
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滑走路1000mの天草空港へ
約10分の水平飛行を終え、あっという間に降下開始。
ジェット機では体験できない、前傾姿勢での降下が印象的でした。
前傾姿勢の降下と強烈なブレーキング
ジェット機では体験できない、前傾姿勢での降下が印象的。
また、1000mと短い天草空港の滑走路の性質上、つま先に力が入るレベルの強烈なブレーキングを体験できました。
前傾姿勢での降下。ジェット機では体験できない、不思議な乗り心地。
天草の棚底湾上空で右旋回。ギアダウン・ギアアップ時のゴツン!とした衝撃が機内に響きました。
滑走路1000mの天草空港へ着陸。つま先に力が入るレベルの強烈なブレーキ。滑走路が1000mと短いためでしょうか。シートベルトをしっかりと締めておきましょう。
9:37到着。プロペラの真横席に別れを告げます。プロペラが吹き飛んだら間違いなく飛んできますね...
プロペラ先端。塵や氷による摩耗防止のためか、先端は金属で覆われています。
コンパクトな天草空港
必要最低限のコンパクトな天草空港。ビルに入るや否や、即、手荷物返却場でした。
徒歩にてターミナルビルへ。降機後の自由度が高い点が地方空港のいいところ。
天草に到着。「AMAKUSA AIRPORT」の赤色文字が離島の空港感があってGood!!
天草空港の手荷物受取場。空港ビルに入るとすぐ受取場。個人的に、日本一預け入れ手荷物の返却が早いエアラインなのでは??と思ったり。
天草空港ターミナルビル内部。カウンターは天草エアラインのみ。発着が無い時間帯は誰もおらず貸切状態に。
フライトルート
福岡から天草まで一直線のルート。高度は9,200ft(約2700m)と低め。飛行高度が低いため、天気が良い日は地上の景色を近い距離で眺めることが可能。
まとめ
そんな訳で、天草エアラインのATR42-600型機で福岡から天草までフライトしました。
小回りの効く小さなエアラインだから実現できる、独自の工夫を各所に感じました。
機内誌やCAさんスタンプラリー、イルカの機体デザインなど。
また、最新鋭プロペラ機のATR42-600。従来のプロペラ機の常識を覆される、快適な機内設計でした。
木の葉に乗るかのような乗り心地のATR。また体験したいものです。
評価
機内食
☆☆☆☆☆(サービスなし。未評価)
シート
★★★☆☆(指4本分のスペース。座り心地はやや固め。赤色の革生地が斬新かつ鮮やか)
機材コンディション
★★★★★(機齢約6年。老朽感はなく機体・機内ともに綺麗だった)
機内スタッフ
★★★★★(親切丁寧テキパキとしたサービス)
エンターテイメント
★★★★★(機内誌のみ。機内Wi-Fiなし。プロペラ機独特の乗り心地、景色は最高のエンタメ)
時間の正確さ
★★★★☆(約10分の遅れ)
総評
★★★★☆
おまけ。天草空港展望デッキのお見送りプレート。こういった独自の工夫を随所に感じる天草エアラインと空港。ファンが多い理由も納得です。