細長い胴体に4発のエンジンが美しい外観のA340-600。
微妙な経済性のため、現在は数社のみが保有中。絶滅危惧種。
スペック・経済性ともに優れるB777に押され、合計97機で生産終了。
4発エンジンの機体は今の時代に合わなかったのだろう。
そんな訳で今回は、絶滅危惧種なA340-600の搭乗記。
2019年の退役直前にカタール航空でドーハからバンコクまでフライトしました。
今回の搭乗機のA340-600(A7-AGA)。搭乗時の機齢12年。(引用:Flightradar24)
カタール航空は4機のA340-600を保有していたが、2019年に完全退役させた。
搭乗DATA
航空会社:カタール航空
搭乗日:2019/02
路線:ドーハ・ハマド⇒バンコク・スワンナプーム
飛行時間:6時間35分 (発2:40⇒着13:15)
便名:QR836
座席:19K エコノミー・窓側席
機材:A340-600 (A7-AGA) 機齢12年5ヵ月
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目次
豪華絢爛なドーハ・ハマド国際空港
カタールの主要空港のハマド国際空港。
今回利用したカタール航空のハブ空港である。
2014年にオープンした同空港。
さすが中東。空港内が広い!綺麗!豪華!
表示等もわかりやすく、初心者でも迷うことはなかった。
ハマド国際空港名物の黄色い巨大クマ。存在感がすごい。
ニューヨークを拠点に活動するアーティスト「ウルフ・フィッシャー
作品名は「無題(ランプ/クマ)」。
中東感ある空港内のお土産屋や車の展示。
ランボルギーニが置いてある空港は初。さすが、オイルマネー...
カタール航空のビジネスクラスラウンジを利用。
JGCだけどエコノミークラスの場合はここを利用することになる。
ビジネスクラス利用客専用のアル・ムルジャンビジネスラウンジの方が圧倒的に豪華。
ラウンジとしての設備は十分なのですが、"中東らしさ"の豪華さは控えめでした。
本当の豪華さを体験したければ、ビジネスクラス専用ラウンジを利用する必要があります。
軽食メインの料理類。穀物系の料理が多かった。お酒はなかった気がする。
画像中右側のもち麦サラダ?が美味しかった。
対面キッチンのようなものはなかったですね。
ペプシの缶にはアラビア語。確かに中東に来たんだなぁ感あり。
味は変わらず。
絶滅危惧種なA340-600に乗る!!
B777の対抗馬としてエアバスが開発したA340-600。
A340-300のエンジンをパワーアップ&胴体を延長して積載力を向上。
開発思想としては良いのだが、双発のB777には経済性の点では勝てなかった。
経済性の悪さは2013年にエアバスも認めている。
ライバルのB777-300ERよりも12%燃料消費が多くなるとしている。
(4000海里飛行時)
DC-8に似た細長い胴体に4発の大口径エンジン。
筆者並びに世界の航空マニアから支持を集める人気機種である。
今回の搭乗機、A340-600(A7-AGA)。
時代の流れに逆らうかのような経済性で不利な機体設計。だが、それが良い!!
カタール航空は計4機保有していたが、2019年に退役させてしまった。
ロールス・ロイスTrent556-61。
A340-300のCFM56-5Cよりも推力が向上している。約1.7倍以上。
(推力/CFM56:31,200-34,000lbf / Trent556:55,780-61,900lbf)
やはり、4発機は素晴らしい!!
同じ運賃を払うなら、安心感のある4発機に乗りたいですね。
今回の座席は後方窓側の19K。(引用:カタール航空 HP)
エンジンが眺められるR2ドア直前の席を指定。
ルフトハンザのA346で採用されている地下トイレは未採用。
今回の座席19K。深紅のシート色が素晴らしい。
メンテナンスが行き届いており、古さ・汚さを感じることはなかった。
横から。座席間隔も問題なし。大手エアラインで一般的な広さ。
窓の位置のズレがマイナスポイント。
後方から。個人モニターあり。
最新座席と比較すると型落ち感は否めないが、快適性はまったく問題なかった。
握り拳1個分の足元広さ
足元広さは握り拳1個分。
シートピッチは約34インチ。
セクションの最後部のため、他席よりもわずかに広い可能性が考えられる。
今回の6時間弱のフライトでも苦痛に感じることはなかった。
文句なしの足元広さ。さすが大手。
テーブル裏面にはドリンクホルダーが装備されている。
この便では隣席が空席だったため、左側にも足を伸ばすことができた。
握り拳1個分の足元広さ。シートピッチは約34インチ。
右足つま先付近のエンタメ機器用の箱が少々邪魔だった。
座り心地レビュー
背もたれのホールド感あり、シート幅は若干広め、握り拳1個分の足元広さ、ヘッドレストはまあまあ反発。
座席の柔らかさ
★★☆☆☆
中東のエアラインらしさ感じるフライト
カタールを代表するエアライン、カタール航空。
機内エンタメにコーランが収録されており、中東らしさを感じることができた。
また、アメニティキットがエコノミークラスでも配布された。
中東系エアラインのサービスの素晴らしさ・豪華さを感じた。
機内のアラビア語表示など、異国感がいつも以上に強いフライトであった。
エコノミークラスでもアメニティキット
ビジネス・ファーストなどの上級クラスで一般的なアメニティキット。
カタール航空ではエコノミークラスでも全員に配布された。
中東系だとエミレーツ航空・エティハド航空でも同様のサービスを実施。
やはり、中東系はサービス・機材ともに余裕が感じられる。
エコノミークラス用のアメニティグッズ。
靴下・アイマスク・耳栓・歯ブラシなど。十分すぎる内容。
旅先でも使える、実用的なアイテムで大満足でした!
A340-600らしさを求めて
せっかくA340-600に乗ったのだから、いろいろと記録してみた。
安全ビデオ中に登場した脱出口の説明。水面着水時の脱出口説明の場面。
4発のエンジンや翼端部のウイングレットなど、再現度が高い。
文句なしのエンタメコンテンツ
エンタメコンテンツも質・量ともに文句なし。
日本語対応だけでなく、日本人向けコンテンツも収録。
今回の6時間弱のフライトでも十分に満喫することができた。
コンテンツ量は別路線で搭乗したA380と同様。
最新型のA380と変わらぬコンテンツがA340にも収録されていた。
日本語対応&日本人向けコンテンツ。
コンテンツの質・量ともにA340よりも新しいA380の座席と同等レベルであった。
イスラム圏のエアラインらしくコーランも収録。
確かに、中東のエアラインに乗っているんだなぁ感。
ハマド国際空港を離陸。A340の特徴!?でもある長い滑走だった。
フライトマップにすると、窓からの景色紹介の画面が現れた。
片側2発のエンジン、翼上の配色、ウイングレットなど、再現度が地味に高い。
(エンジン径はTrent500よりもA340-300のCFM56に似ていたが(笑))
HUD画面風の表示。
最新機種では一般的なエンタメ機能だが、まさかA346にも装備されているとは。
一昔前のエンタメシステムだが、この機能が収録されていることに驚いた。
機窓紹介画面やHUD画面など、マニア歓喜なコンテンツが多いです。
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美味しい機内食
機内食は計2回提供された。
1回目は就寝前の軽食。
ペストリーとチョコケーキが提供された。
2回目は夜明け後の通常の機内食。
牛肉のトマト煮込みが提供された。
どちらも美味しかった。
就寝前の軽食
離陸から約50分後に就寝前の軽食が提供された。
ペストリーとチョコケーキ。
ペストリーはチキンカレー風の味付けで美味しかった。
ペストリーは若干パサパサ&薄めの味付けだったが美味しかった。
チキンカレー風の味付け。チョコケーキは一般的な味。
箱に書かれていた料理名は以下。
「Chicken & Bell Pepper Arabic Pastry with a Rich Chocolate Sponge」
起床後の朝食
軽食後は就寝タイム。気付いたら寝落ちしていた。
2回目の機内食はバンコク到着1時間30分前に提供された。
牛肉のトマト煮込み・ピザパン・ハッシュドポテト・果物など。
こちらも軽食同様に美味しかった。
目を覚ますと、ミャンマー沖まで来ていた。
アラビア語の表記が異国感マシマシで良い。
牛肉のトマト煮込み・ピザパン・ハッシュドポテトをメインとした朝食。
量も程よく、疲れた体でも問題なくいただくことができた。
牛肉はやや固め、まぁまぁ美味しい。ハッシュドポテトはバターが効いてて美味しかった。
料理一覧
・牛肉のトマト煮込み、ピザパン、ハッシュドポテト
・パン
・ストロベリーヨーグルト
・果物
・水
3種盛りのメインプレート。
牛肉は少々固めだったが、味はまぁまぁ美味しかった。
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4発エンジンを眺めながらバンコクへ
4発機の醍醐味といえば、やはり機内から見える景色だろう。
この座席位置を指定したのも、2発のエンジンを眺めるためだ。
燃費燃費で4発機が激減する近年において、このような経験は難しくなってきている。
バンコクまで貴重な4発機でのフライトを満喫した。
機内から眺めるA340-600の2発のRR Trent556-61のエンジン。
ウイングレットや径の大きいエンジンなどでB747に機窓が似ている。
本当に素晴らしい機窓。ずっと眺めていられた。
B777-300ERがGE90-115Bを2基装備する一方で、同サイズのA340-600は4基装備。
確かに燃費は大切かもしれませんが、飛行機で最も大切な安全性は4発機の方が高い気がします。
A340は経済性で不利ですが、いつまでも飛んで欲しい名機だと思います。
片側2発エンジンの安心感。
エンジン音は静か。風切り音の方が大きいレベル。
搭乗率50%程度の機内。
イスラム圏よりも、欧米の乗客が多かった。アジア系はレアキャラ。
あっという間にバンコクへ。アジア人お馴染みの田園が見えてきた。
FR車のような、後ろから押される感じの加速感。
Trent500のヴーン音とともに、いざぁファイナルアプローチ。
降機の際に機内見学させていただいた。
A330と同様の2-4-2配席。機内はA330と大きな変化はない。
全席個人モニター装備。カーテンの奥はビジネスクラス。
機齢12年。古さを感じさせない機体・機内だけに、退役は勿体ない気がした。
まとめ
そんな訳で、絶滅危惧種のA340-600ででドーハからバンコクまでフライトしました。
ライバルのB777に押される形で生産数を伸ばせなかったA340-600。
個人的に、4発エンジン装備のA340の方が好きです。
美味しい機内食・日本人向けコンテンツ多数のエンタメ機能・フレンドリーなCAさん。
非常に素晴らしいフライトでした。
A340。
いつまでも飛んでくれたらなぁ...
評価
機内食
★★★★☆(パサパサ・固めの料理もあったが味は良い。牛肉は高評価)
シート
★★★★☆(握り拳1個分の足元広さ。座席幅は若干広め。深紅の生地色が綺麗)
機材コンディション
★★★★★(機齢12年。くたびれた感なし。抜群のコンディション)
機内スタッフ
★★★★★(多国籍のCAさん。フレンドリーなCAさんが多かった)
エンターテイメント
★★★★★(映画・音楽・マップともに十分なコンテンツ量。日本語対応&日本人向けコンテンツあり)
時間の正確さ
★★★★★(40分の早着)
総評
★★★★★
おまけ
今回の搭乗機「A7-AGA」は現在、ドーハにて白塗装の状態で保管中。
機首には大きく「TRAINIG」の文字が書かれている。
訓練用機材として第2の人生を歩んでいるのだろうか。
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